シドニー浜の竹内文書・竹内文献に関するメモ帳
『ユダの福音書』について
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『ユダの福音書』について
●今回発見された全66ページの写本四書
『ユダの福音書』
『ヤコブの第一黙示録』
『ペトロからフィリポヘの手紙』
『(仮)アロゲネス(異邦人)の書』
●本物の聖書外伝であることが判明
専門家による5つの古文書検証の内容
・放射性元素年代測定法・・・・紀元220〜340年頃
・インク成分分析・・・・・・・炭素黒色顔料とゴムを含有(3〜4世紀のインクによくある)
・マルチスペクトル画像解析・・インクが重ねられ修正された形跡見られず
・文章構造分析・・・・・・・・コプト語・サイード方言で書かれており、紀元2世紀に
流行したグノーシス派特有の思想が色濃く反映されている
・古文書学的検証・・・・・・・1945年のナグ・ハマディー文書に極めて近く100%典型的
なコプト語である確信がある
以上の検証により、問題の文書は紀元300年頃の写本と結論。
●コプト語のパピルス写本の成立年代及び、発見から現在までの経緯
・紀元300年頃(紀元220〜340年)
↓
・1970年代エジプトのミニヤー県付近で発見
↓
・エジプトからヨーロッパを経由しアメリカへ持ち込まれる
↓
・ニューヨーク州ロングアイランドにある銀行の貸金庫
で16年間眠る
↓
・2000年、スイス・チューリッヒの古美術商
フリーダ・ヌスバーガー=チャコスが買い取る
↓
・2001年2月、スイス・バーゼルのマエケナス古美術財団に寄託
↓
・2006年2月、行方不明だった半ページがニューヨークで見つかる
↓
・今後、この「チャコス写本」と名付けられた文書は、(現在も続いている)
修復・翻訳後に再びエジプト・カイロ、コプト博物館へ収蔵される計画
●『ユダの福音書』は26ページ構成、13枚のパピルスの両面に書かれている
●修復と翻訳によって分かったこと
・『ユダの福音書』のコプト語写本の元になった、ギリシャ語原典は、
正典福音書の成立期から、紀元180年までの間に、初期のグノーシス派に
属する人々によって書かれたようである。
(グノーシス派は、真の救済はイエスが側近たちに伝えた「秘密の知識」
を通じてもたらされると考えた。「秘密の知識」は魂を物質的な肉体から
解放し、人間の内部に元々あった神とのつながりを復活させるものだと主張。
更に彼らは、「イエスの父である神」は物質世界を創造した旧約聖書の嫉妬
深い神より上位の存在だと信じていた。)
・『ユダの福音書』記述によると、イスカリオテのユダはキリストの真の教えを
正しく理解していた唯一の弟子であり、ユダがローマの官憲に引き渡したのは、
イエス自身の言いつけに従ったものだという。
●禁書となった理由
当時はマタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四福音書以外にも様々な福音書が
流布されていたが、エイレナイオス(紀元180年頃のフランス・リヨンの司祭)
は信者に対しキリスト教は正統派四福音書のみ読むように主張したため、
それら以外の福音書が「禁書」とされ、『ユダの福音書』は人目につかない
ところへ隠れた。
エイレナイオスの大著『異端反駁』では、「(ユダを崇拝するグループは、)
裏切り者ユダを...誰も知らない真理を知る唯一の存在だと主張する。
...彼らはこの種の偽りの歴史を創作し、それを『ユダの福音書』と呼んでいる」
●『ユダの福音書』の記述について
【冒頭部分】
「過越の祭りが始まる3日前、イスカリオテのユダとの1週間の対話で
イエスが語った秘密の啓示」
となっている。
【福音書の最初の部分】
「イエスは『お前たちの神』に祈りを捧げる弟子たちを笑います。
この神とは世界を創造した旧約聖書の劣った神のことです。
そしてイエスは、この私を直視し、真の姿を理解せよと迫りましたが、
弟子たちは目を向けようとしません。」
【最も重要なくだりは、イエスがユダにこう語る部分】
「お前は、真の私を包むこの肉体を犠牲とし、
すべての弟子たちを超える存在になるだろう」
つまり、ユダはイエスから物質である肉体を取り除くことによって、
内なる真の自己、つまり神の本質を解放するという。
【この福音書には、ユダが弟子達の中で特別な地位を与えられていることを示す記述がいくつかある】
たとえば、イエスは次のように語っている。
「他の者たちから離れなさい。そうすれば、お前に[神の]王国の神秘を
語って聞かせよう。その王国に至ることは可能だが、
お前は大いに悲しむことになるだろう」
【イエスがユダにこう語りかける場面もある】
「聞きなさい、お前には[真理の]すべてを話し終えた。
目を上げ、雲とその中の光、それを囲む星々を見なさい。
皆を導くあの星が、お前の星だ」
【更に福音書は、ユダは他の弟子から嫌悪されることになるが、彼らより高い地位に昇るだろうと予言する】
「お前はこの世代の他の者たちの非難の的となるだろう
――そして彼らの上に君臨するだろう」
と、イエスは言う。
ユダ自身も、他の弟子たちから猛反発を受ける幻視を見たと報告している。
「幻視の中で、私は12人の弟子から石を投げつけられ、
[ひどい]迫害を受けていました」
【福音書には、ユダの覚醒と変容を示唆すると思われる一節もある】
「ユダは目を上げ、光輝く雲を見て、その中に入っていった」
地上の人間たちは雲から聞こえる声を耳にするが、
この部分のパピルスが損傷しているため、
その言葉が何だったのかは分からない。
【福音書の記述は、次の場面で唐突に終る】
「彼ら[イエスを捕らえにきた人々]はユダに近づき、
『ここで何をしているのだ。イエスの弟子よ』と声をかけた。
ユダは彼らが望むとおりのことを答え、いくらかの金を受け取ると、
イエスを引き渡した」
【イエスが十字架にかけられること、復活することについては、何も書かれていない】
[出典元:ナショナル・ジオグラフィック日本語版2006/4/6の報道解禁によるpdfより]
【参考: http://nng.nikkeibp.co.jp/nng/topics/images/n20060407_3.pdf】
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